道は、必ずひらける。

WAYS Your dreams, Woven together.

Produce by 朝日インテック

“道”を創るTopics

Vol.4
めざすは「世界から世界へ」
製品力と信念を携えたグローバリゼーション

今では、世界110カ国以上に販売ネットワークを広げる朝日インテック。直接販売や研究開発体制もグローバル化がますます進んでいる。米国駐在所を開設し、グローバル展開を開始したのは2000年のこと。わずか数名が担当を務め、手探りで始めたものだった。 朝日インテックで海外事業に黎明期から携わってきたのが、現在は海外営業副統括であり、オランダ・アムステルダムの欧州法人で社長を務め、米国法人副社長兼、メディカル事業部海外営業グループ北南米地域統括などを兼任する犬飼一覚。海外事業の黎明期から拡大期、現在に至るまで、苦難をどう乗り越え、どんな想いを抱いてきたのか。犬飼に聞いた。

海外事業の黎明期はまさに手探り
製品力を信じ、地道に開拓

未知数だが、足がかりはある――。当時、欧米の開拓を任された犬飼はそう思っていた。2002年、犬飼の入社にともない本格化した朝日インテックの海外ブランド事業。海外事業拡大の重責を担った犬飼は、「正直なところ、私自身に海外展開の経験はなかったので未知数でした。欧米系の大手メーカーと、欧州全土での販売ができるように代理店契約を結んでいたので、それを足がかりに海外展開をする戦略でした」と、当時を振り返る。

日本市場では当時、主力製品「PCIガイドワイヤー」(※1)で定評があり、「それを持って世界を制覇する」と社長の宮田も口にしていたほど。実際に海外での販路を拡大するため、日本の名医の方々の海外出張に同行し、現地で自社製品を使った症例デモンストレーションも行った。「海外では不可能と思われていたような難しい手技ができ、患者さんを治すことができる。そういった海外のドクターの驚きの顔を目の当たりにして、“これならいけるのではないか”と徐々に自信が確信へと変わっていきました」。

(※1) PCIガイドワイヤー:
治療用ガイドワイヤー。詰まったり狭くなったりした血管を通過し、カテーテル治療に使うさまざまな医療機器を病変部まで運ぶガイドとなる。


手応えを感じる一方で試練もあった。契約先である大手メーカーがほどなく倒産。一部事業を買収した別の大手メーカーA社と契約を結び直す。「A社を含む代理店に対して、私たちはまだまだ弱い立場。市場動向や顧客情報の把握から販売戦略まで、代理店に頼らざるを得ない状況でした」。

またヨーロッパにおいて、主力以外の製品は小規模代理店と国ごとに販売代理店契約を結び、市場開拓を同時に進めていた。「今から思うと、これらの会社とは非常に良い出会いでした。一緒に切磋琢磨することで信頼関係が築かれ、まだ開拓していない国の代理店を彼らから紹介してもらうことも。こうして一つ、また一つと契約先が増えていったのです」。
この後に控える朝日インテック海外事業の大きな決断。その際にも、これら小規模代理店との信頼関係は大きな支えとなっていく──。

思うように製品を販売できない日々
意を決して切った新たな舵

数年が経ち、A社との間に難題が降りかかった。きっかけは、A社が朝日インテックの競合企業B社を買収し、朝日インテックとB社の2ブランドを持ったこと。「製品を販売するときには、『この製品を、こういった症例に使ってもらいたい』というコンセプトがあります。しかしA社は、朝日インテック製品と、自社が販売するB社ブランドの製品とで売上や顧客を奪い合いたくなかったため、朝日インテック製品を特殊な位置づけにするようになったのです」。
A社としては、朝日インテック製品とB社製品トータルで市場占有率を高めたいという考えだ。

北米や欧州に基盤がない朝日インテックにとってA社との取引は、ガイドワイヤーをゼロから広めて行くために一定の成果があった。そこで、引き続き朝日インテックの製品の良さを伝えるべく、A社の経営陣が代わる度にトップ対談を行い、その際は決まって社長の宮田が率先し、速やかに現地へ赴いた。

「しばらく思うように製品を販売できない日々が続いた」と犬飼は振り返る。
一方で、主力以外の製品で小規模代理店の開拓をさらに行い、流通網確立の準備をしていった。そして、ついに決断の時がやってくる。

最先端の「ACT ONE(※2)」技術を用いて、満を持して市場投入したワークホースガイドワイヤー「SIONシリーズ(※3)」が、特殊ワイヤーとして位置づけられたのだ。
「これは承知できない、と感じました。特にSIONは一般的な症例に使うワイヤーですが、A社は難しい症例用として製品の可能性を制限したのです。ガイドワイヤー市場の95%は一般症例であり、この市場を獲得しない限りシェアは伸びません」。

SIONシリーズの投入で強まった「これで、自社でもやっていける」という自信。そして、海外で高まっていた朝日インテック製品への評価。これをもとにA社との契約はヨーロッパで2011年に解除、アメリカでも2018年に解除した。
一時は株式市場の反応も懸念されたが、犬飼の信念「世界シェアNo.1」は揺らぐことなく、結果的にこの決断はマーケットからも好意的に受け止められた。

(※2) ACT ONE:
トルク伝達性、柔軟性、耐伸性をバランスよく実現した中空の多条コイル。曲がりくねった状態でも手元操作を先端部に伝えることが可能で、手元の回転操作を伝えるカテーテル用シャフトにも適している。

(※3) SIONシリーズ:
PTCAガイドワイヤーの新製品として2009年7月には国内一部で発売開始。以来、国内で高評価を集め、朝日インテックの主力製品となった。

危機が転じて、海外事業の拡大へ
目標は一貫してグローバルニッチNo.1

シェアNo.1を絶対に取る――。その気持ちはA社から主力製品の販売権利を引き継いだ小規模代理店にも伝わっていく。彼らも大手メーカーと戦うことになる。「それでも『技術力のある製品により、大手に勝つことができる。良い製品で市場シェアを共に高めていこう』という勢いが彼らにありました」。

朝日インテックグループによる米国での直接販売は、2018年7月から開始。犬飼は2017年1月にアメリカに着任後まず、臨床経験がある人財などを現地で10名ほど採用し、営業チームを強化した。「海外ビジネスに長けた人財を育て、現地社員も活躍できるキャリアパスを作っていきたい。良い人財を集める、真のグローバル企業になる、という意味でもそうした道筋を見えるものにすることが大切」と、犬飼は考えている。

こうした取り組みが功を奏し、欧米での市場シェアは順調に拡大。2023年2月現在、販売ネットワークは世界110カ国以上に広がっている。これからも朝日インテックにとって、グローバル化は経営計画上の大きな柱だ。グローバルニッチ市場を中心に、海外でのシェアを日本並みに高めること。そして自社の開発力を活かして新分野へ挑戦していくことが、今後の成長の大きな鍵になる。

海外事業に携わって約20年。犬飼自身が歩んできた国際ビジネスマンとしてのWAYSは、今後の海外事業を担う社員の一つの道標となるだろう。「これまで当社は『日本から世界へ』を掲げてきました。しかしこれからは、『世界から世界へ』。自身の経験をもとに国際感覚の養われた人財育成に努めながら、全社を挙げて真のグローバルニッチNO.1をめざしていきたいですね」。

国際学会(EuroPCR)に向けた会議終了後に撮影(当時のヨーロッパ支店メンバーや本社経営幹部、本社からの支援チーム)






▼プロフィール

【󠄀犬飼一覚氏 KAZUAKI INUKAI】
1973年岡山市生まれ。医療用具代理店を営む家庭で育つ。祖父が日系移民であることなどをきっかけに米国・オレゴン大学経済学部へ進学し、1997年卒業。医療用具メーカーで営業職、プロダクトマネージャー職などを務める。2002年12月に朝日インテックに入社し、ほどなくして海外営業グループの責任者に就任、海外事業の拡大に携わる。現在は海外営業副統括。オランダ・アムステルダムの欧州法人で社長を務めながら、米国法人副社長、メディカル事業部海外営業グループ北南米地域統括などを兼任する。



写真=太田昌宏(スタジオアッシュ)

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