道は、必ずひらける。

WAYS Your dreams, Woven together.

Produce by 朝日インテック

WAYS 道を拓く Interview 道を拓く Interview vol.3 株式会社walkey・
株式会社quantum
JANUARY 10, 2024

株式会社walkey・株式会社quantum
株式会社walkey・株式会社quantum

道を、知る。 株式会社walkey 代表取締役 渡辺 達哉 × 株式会社quantum CDO(チーフデザインオフィサー) 門田 慎太郎 道を、知る。 株式会社walkey 代表取締役 渡辺 達哉 × 株式会社quantum CDO(チーフデザインオフィサー) 門田 慎太郎

人生100年時代と言われ健康寿命の延伸が望まれる今、朝日インテックでは2021年よりスタートアップスタジオのquantumとともに、自宅とラボで100年歩ける身体をつくる、“歩行専用“トレーニングサービス「walkey(ウォーキー)」のプロジェクトを進めてきた。
2022年5月、両社の合弁で「株式会社walkey」を設立し、2022年7月には自由が丘(東京目黒区)に1号店となるラボをオープン。ユーザーは2週間に1回ラボでトレーナーによる指導を受け、自宅で朝日インテックのワイヤーテクノロジーが活かされたトレーニングデバイスと、専用のアプリでエクササイズを行う。
加盟店制度を導入するなど、新たなフェーズへと入った本プロジェクト。果たして今後、walkeyはどのようなWAYS(道)を描くのだろうか。
立ち上げから現在に至るまでプロジェクトにかかわる、株式会社walkey 代表取締役の渡辺達哉氏、株式会社quantum CDO(チーフデザインオフィサー)の門田慎太郎氏に話を聞いた。

INDEX

「100年歩ける人生を届ける」
ために
たどり着いた
“反転ジム方式”のサービス

株式会社walkey・株式会社quantum

最初に、スタートアップスタジオとしてのquantumの強みや、本プロジェクト立ち上げの経緯をお聞かせください。

門田 : quantumは、基本的には「ワンスタジオ」といって、新規事業を創る際に必要な多様な職能を持つメンバーが垣根なく集まっているのですが、職能として大きく分けると「デザイン」「テクノロジー」「ビジネス」という3つの領域のスタッフがおり、プロジェクトに応じて有機的にチームを組んで業務を進めています。スタートアップスタジオの中には、事業のアイデアのコンサルティングだけ、インキュベーションだけというところもありますが、当社はアイデアから実装まで一貫して担えるのが強みです。

渡辺 : quantumの高松前社長が、朝日インテックの宮田社長と知り合い、その後、互いの会社を訪問したり、事業内容の紹介をしたりする機会がありました。宮田社長がquantumの事業例をご覧になられて、ぜひ一緒にとお声がけいただいたのが始まりです。私と門田も朝日インテックにお邪魔しましたが、独自のコアテクノロジーを拝見し、これだけの技術をもつ企業とプロダクトを作れたら、絶対に良いものができるだろうと感じたことを覚えています。

quantumと朝日インテック両方の強みのアウトプットが、ヘルスケア分野になったのはなぜですか。

渡辺 : 両社の協業、そして事業の構想がはじまった矢先にやってきたのが、新型コロナウイルスです。外出自粛が余儀なくされ、運動不足を感じる中で、体を動かす限られた手段が「歩く」ことでした。もともと高齢社会の中で健康長寿と歩行の関係性は注目されていましたが、コロナ禍でよりニーズが高まるに違いないと感じたのです。田舎暮らしをしている私の両親を見ても、車社会の中でコロナ禍となり、より筋力が弱っているのではと思っていたので、身近なところからもニーズをとらえていました。

門田 : パワードスーツや杖、歩行を分析するインソールなど、100以上のアイデアが出ましたが、テクノロジーとビジネスの両面からフィルタリングして、現状の形にまとまっていきました。歩行に関して言えば、父親が昔からジョギングや散歩を習慣としており、足腰が鍛えられているおかげで、高齢になった今でもゴルフやスキーを楽しんでいます。そういった面で私自身も歩行と健康とのつながりを感じていました。

walkeyがデバイスの販売ではなく、自宅とラボを併用するサービスになった点も興味深いです。

渡辺 : ドクターなど歩行の専門家とディスカッションを重ねる中で、歩行に使う筋肉はジムで鍛える筋肉とは違う、小さな筋肉であることがわかりました。その筋肉は、きちんとした指導のもとであれば、誰でも鍛えることができるものです。学習効率が高く、自らの力でも鍛えることができる仕組みを考えたときに、行き着いたのが自宅とラボを併用するサービスでした。家庭で予習をして授業に臨み、授業では予習に基づいて課題に沿った形で学びを進める「反転学習」という言葉がありますが、私たちはwalkeyのスタイルを“反転ジム方式”と呼んでいます。

門田 : 朝日インテックといえば「ものづくりのメーカー」というイメージがあったので、当初は新たなプロダクトをリリースするのだろうと考えていましたが、議論を深めながら反転ジム方式というサービスになりました。もっとも、私たちはお客さまに何らかの価値を提供するのが目的です。その手段がプロダクトであろうとサービスであろうと、目的を果たすことが重要であって、「100年歩ける人生を届ける」という素晴らしい事業コンセプトを社会実装するため、最適な手段を探すという形で進めていきました。

テクノロジーと
デザインの融合により
2022グッドデザイン賞を受賞

朝日インテックとquantum、2社の協業ということで、チームビルディングなどの難しさはありましたか。

渡辺 : quantumサイドは、ビジネスとエンジニアリング、デザインのチームに分かれ総勢10名程度、朝日インテックが開発・研究担当として9名程度の体制でスタートしました。チームや役割は分かれていましたが、アイデアを出し合い、絞り、形作るところまで、垣根を超えて一体となって行ってきました。

門田 : 別のプロジェクトでも他業種・多職種と連携することはありますが、常に意識しているのは、当たり前かもしれませんが、それぞれの価値観を尊重すること。そして共通言語でコミュニケーションをはかること。専門性が高くなると、どうしても専門的な用語を使いがちですが、できるだけ一般的な言葉を使い伝わりやすいようにすることが大切だと思っています。

渡辺 : コミュニケーションがポイントとなるが故に、コロナ禍でのプロジェクト進行は難しさがありました。当時は社会がオンラインコミュニケーションを取り入れ始めた頃。同じ会社内でさえ離れた場所でのコミュニケーションに苦労していた時期に、チームビルディングをしなければいけない段階でいきなり遠隔という状況には悩まされましたね。そこで、しっかりと感染症対策をとりながら、大事なところだけは集まり、現地現物を確認しながら前に進めていきました。

walkeyのデバイスは一見するとトレーニングマシンには見えません。デザインとテクノロジーを融合させるにあたり、どんなハードルがありましたか。

門田 : 「何を作るのか」というゼロの状態から始まり、最初に形となったのが半畳ぐらいもある大きなデバイスでした。それから小型化を進めていくのですが、筐体が小さくなればそこに搭載できる機能が制限され、運動の種類もスポイルせざるを得ません。また、安心して運動をするためにはある程度の重さによる安定性が必要です。しかし重すぎると女性やシニア層は扱いにくい。このように、大きさや重さ、機能のバランスを考えるところが大変でしたね。結果的に、自らが乗ることで機器を安定させる今のような形に落ち着きました。実は歩く時には床を蹴った反発力で進む「床反力」をうまく使うことが重要なのですが、今のデバイスの形は床反力を鍛えることにもつながるという、副次的な効果が生まれました。

渡辺 : デバイスに組み込まれているワイヤーは、自動車のドアを制御するような力強いものです。開発段階でユーザーに使ってもらいながら、耐久性やしなやかさ、色の出具合などをブラッシュアップしていきました。改善点が出ては試作しての繰り返しでしたが、朝日インテックからはスピーディに新たな提案がされ、これまでに蓄積された技術力を感じましたね。

門田 : デバイスのワイヤーが出入りする部分にはローラーが付いていて、スムーズな動作を支えています。デザイン的にあまりごちゃごちゃさせたくないため、私としてはワイヤーが直接接する箇所だけローラーを付け、別の側面には滑りやすい樹脂を使えばよいのではと考えていました。ところが朝日インテックのエンジニアから、逆側にもローラーを付けなければいずれワイヤーが切れてしまうだろうという意見が挙がり、両側に付けることになったという経緯があります。これまで何万回とワイヤーの耐久試験をやってきた朝日インテックの知見は、とても参考になりました。

walkeyのデバイスは2022年度グッドデザイン賞も受賞していますが、ターゲットを意識してどのようなデザインコンセプトを立てられましたか。

門田 : walkeyのターゲットである、シニアや体力に自信がない方に受け入れられやすい顔つきを作ることを意識しました。従来のジムなどは黒基調であったり、元気付けるようなビタミンカラーが採用されていたりすることが多いのですが、walkeyは自然なグリーンをテーマカラーに設定し、運動に対する心理的ハードルを下げようと考えました。また、プロダクトにはできるだけ角をつくらないような安全面への配慮や、アプリには適切な文字サイズや色を使うことで視認性を高くするなど、機能的な側面からもターゲットをしっかり意識したデザインを行いました。
グッドデザイン賞では、プロダクトとアプリケーション、そしてサービスの設計をセットで評価していただきました。チームがまさに心がけたのが3つのバランスでしたので、とても感慨深いですね。

渡辺 : そうですね。自分としても、ものづくりのトップランナーである朝日インテックが関わるプロジェクトが、プロダクトとともに、デザインやサービスでも評価されたことが、意義あるものになれば嬉しいです。

サービス開始から2年が経った今、利用者の声や、サービス提供側の気づきなどはありますか。

門田 : 歩くことって私も含め、みなさんあまり日常的に意識はしていませんよね。walkeyのラボでプロのアスリートの歩行データを計測しましたが、普段から運動をしている方でも筋肉をうまく使えていませんでした。私も自分の解析結果により歩き方の癖がわかりましたが、それは想像していたものとは異なりました。こうしてデータはトレーニングに活かせるだけでなく、普段歩く上でも意識が変わってくるため、あらためてエビデンスの重要性を認識しています。

渡辺 : ターゲットとしたシニア以外にも、過去にケガをされた経験があって歩くことから運動を見直したいという20代の方や、リモートワークが重なり、運動不足を感じて利用されている30代の方などが利用されており、新たなニーズを知りました。お客様からは「疲れにくく歩けるようになった」「不安だった旅行に行けるようになった」「山登りできるようになった」など、長く続けることで結果が現れ、生活が変わる様子をうかがうことができ、walkeyを続けていて本当によかったと感じています。

日本国内へ拡大し、
さらにその先へ
世界の健康寿命の延伸に
貢献したい

walkeyが現時点で達成したこと、また次のフェーズについてお聞かせください。

渡辺 : これまでは、自由が丘のラボでお客様を増やしながらサービスを提供していくフェーズでした。これからは治療院や整骨院などを募り、加盟店制度を導入してサービスを拡大していきます。そのため、デバイスの量産ラインも整えました。2023年10月時点で加盟店は14店舗。関東が中心ですが、仙台や九州にも店舗があります。サービスを広げることでこれまでとは違ったニーズや課題がより増えてくると思いますので、しっかりと改善してwalkeyの品質を高めていければと考えています。

門田 : デザイナーとして僕ができるのは、ユーザーとサービスのタッチポイントをブラッシュアップしていくことですね。もちろん、デザインの質を上げることは日々やっており、直近ではベルトのバックルの形状や、アプリケーションの管理画面の見直しを進めています。ユーザーが増えたり、長期スパンで使ったりすることで出てくる課題は必ずあると思いますので、細やかに対応していきたいですね。

本WEBサイトは「WAYS(信念・道)」という名前がつけられています。お二人の心にある信念、ゆずれない道、またwalkeyの事業展開にあたって変わることのない信念は何でしょうか。

渡辺 : 「100年歩ける人生を届ける」こと、お客様の100年歩ける体作りをきちんとサポートできている状態を続けることが社会との約束であり、walkeyの「道」だと思います。僕自身は常に「Make the world better」という言葉が心にあり、少しでも今より環境や状況がよくなる仕事をしたいと考えています。

門田 : walkeyの進むべき道や、「Make the world better」の考え方は僕も同じで、やはりデザイナーである以上、デザインの力で環境や状況をより良くしたいですね。そのために社会の動向にアンテナを立て、普段から人々の生活をつぶさに見るようにしています。そうしていると、自分の心に引っかかる何か言語化されていないものに出会うことがあり、それが糸口になって課題解決につながることがよくあります。walkeyは今後、サービスの拡大にともない新たな展開が加わるかもしれませんが、生活者を中心に考えることはブレることなく、デザインをしていきたいですね。

渡辺 : 「100年歩ける人生を届ける」ことは日本に限ったことではなく、グローバルに通用するビジョンです。展示会などにwalkeyを出品すると海外の方からも評価していただくことが少なくありません。いずれwalkeyが、世界の健康寿命を延ばすインフラのようなものになればいいですね。

門田 : 外では、ゲーム機のことを「Nintendo」、オートバイのことを「Kawasaki」と呼ぶなど、先駆者や存在感のある企業が一般名詞になることがありますよね。walkeyも一般名詞になるぐらい、グローバルに成長することを期待したいです。

最後に、朝日インテックにメッセージをお願いします。

渡辺 : すでに私自身はグループの一員ではありますが、やはり朝日インテックの高い技術力や品質へのこだわり、QOL向上への思いを日頃から感じています。とても力強いものでもありますので、ぜひ今後も手を取り合い、サービスの向上と普及に尽力していければと思います。

門田 : ドイツにはB to Bの優良企業があり、一般ではあまり知られていなくても、高い技術力により業界内で信頼を勝ち取っています。朝日インテックと仕事を一緒にさせていただきながら、ドイツのそのような企業と重なる部分を感じているのですが、walkeyをきっかけに一般の方にも朝日インテックのすばらしさがさらに伝わると嬉しいですね。

取材・文=鬼頭英治(エディマート)/
写真=太田昌宏(スタジオアッシュ)

株式会社walkey 代表取締役  渡辺 達哉

株式会社walkey 
代表取締役

渡辺 達哉TATSUYA WATANABE

東京大学大学院工学系研究科修了。バイオベンチャーを有する研究室で創薬技術の研究に携わったのち、外資系コンサルティング会社にて戦略策定や企業統合、新規事業開発に従事。その後、ベルリンでの事業の立ち上げを経験し、2017年12月、quantumに参画。
quantumでは執行役員として、新規事業開発プロジェクトや、社内起業家育成プログラム、外部企業とのアライアンスを牽引。
朝日インテックとの新規事業としてスタートした歩行トレーニング事業を合弁会社化し、2022年5月に「株式会社walkey」を創業。(同タイミングでquantum社を退社。)
現在は、朝日インテックのグループ会社である株式会社walkeyの代表取締役として事業を推進中。

株式会社quantum CDO(チーフデザインオフィサー) 門田 慎太郎

株式会社quantum 
CDO(チーフデザインオフィサー)

門田 慎太郎SHINTARO MONDEN

国内デザインファーム及び外資系PCメーカーにて、一点モノの家具から世界で数万台を売り上げるラップトップPCまで幅広い分野の製品デザインを担当したのち、quantumに参画。quantumのデザイン部門を統括し、プロダクト、グラフィック、UI/UXデザインなどの境域から幅広い分野の新規事業開発を牽引する。デザインリサーチ、コンセプト開発、実証実験、量産設計支援まで一連の製品開発を一気通貫に行うことを強みとしている。手掛けたプロダクトは、iF Design Gold、Cannes Lions Gold、RedDot design、Dezeen Awards project of the yearなど、数多くのアワードを受賞しているほか、ドイツのPinakothek der Moderne、デンマークのDesign Museum Danmarkのパーマネントコレクションにも選定されるなど、国内外から高い評価を集めている。

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